ペーパービーズのつくり手たち


ブシュラ Bushra

無職の父親に幼少時代虐待され、地震で母親を亡くし、野菜を育てて細々と生計を立てていた祖母に育てられました。つらい体験をしたとは思えないほど明るい人柄で、笑みをたやさず、派手なお洒落が大好きなブシュラは、遠くからでも人目をひきます。

「神様以外の誰も頼ろうと思わないわ。 そして神様がペーパーミラクルズに出会わせてくれた。新しいスキルを得て、自分で稼ぐということは、人の施しを受けるよりずっと素晴らしいことね。」


サフィア Safia

大学生の時に地震に遭い、学校の建物が倒壊して脊髄を損傷、下半身不随となったものの学業を諦めず、イスラム学の修士号を取得しました。現在、避難所近くの小学校で講師を務めながら、市内で常勤の教員になることをめざしています。市内までタクシーで通い、一人で乗り降りするサフィアにとって、ビーズづくりは夢を叶える資金作りの意味ももっています。

「ビーズが紙でできていると知って驚く人もいる。そんな時、私がこれをつくったのよ、と誇らしく思うわ。」


サルマ Salma

地震で寝室の屋根が崩落して脊髄を損傷した後も、多くの病院を訪ねて治療法を探しました。回復の見込みはほとんどないと分かり、絶望したサルマにとって、ビーズづくりに集中することは、リラックスして心を癒す格好の手段となりました。長時間座っていることも困難な傷を抱えながら、奇跡を信じて諦めず治療を続けています。

「夜に部屋で、時には昼間に太陽の下で、ルームメイトと一緒にビーズを作るの。お喋りして、笑って、楽しいし気が紛れるわ。」


ザリーナ Zareena

地震で両親を失い、脊髄を傷め、二度と歩けないと医者に言われ絶望の淵をさまよっていました。さらに追い打ちをかけるように、それまでの幸せな平凡な生活は一変。 下半身不随となった彼女に対して夫は度々暴力をふるうようになり、2児の母であったザリーナは、避難所へと移る決心をします。その後、夫は再婚。今では、いつも笑顔で熱心にビーズをつくり、時には一緒に生活する次女を膝に乗せて作業に励んでいます。夫に奪いとられて以来一度も会っていない長女の幸せを、すくすくと成長する次女の明るい将来を願いながら作り続けるビーズは、ザリーナの生きる力となっています。